湯治宿に泊まる
日本古来の養生法である湯治で長逗留するための宿、それが湯治宿です。現代では、人が本来持つ自然治癒力を高め、精神的な満足を高めることにその湯治旅の本質があります。いにしえより地から湧き出す湯に身を浸し自然と一体となることは、心身を再生し「あるがままの自分」に戻すこと。内なる声に耳を澄ませ、湯が滴り落ちる音だけの静寂な空間にゆったりと身を委ねる、そんなひとときを過ごすことができます。慌ただしい毎日の喧騒から離れて、湯治宿に「暮らすように」滞在してみましょう。
湯治とは
湯治とは、温泉で心身を癒していた日本古来の療養であり、伝統的な養生法でした。「湯」とは療養泉・薬湯を、「治」とは治療を指し、自然に宿る不思議な地の力で保養をしてきました。その歴史は「古事記」「日本書紀」に温泉が記述されるように、奈良時代にまで遡ることができます。温泉の歴史は連綿と続き、農耕や狩猟を終えた民や戦いを終えた武士達も、日本の文豪達も湯治宿に逗留し、じっくりと傷の治療や心身の疲れを癒してきました。、ゆったりとした時間を過ごし、心と体をリラックスさせましょう。
湯治場で体験できること
湯治宿では、基本的には贅沢な食事や布団敷き等の旅館や温泉宿では当たり前のサービスが敢えてありません。自炊も可能で、湯治のための長期滞在にかかる費用を抑えるためのこと。それはつまり、泊食分離の先駆けとも言え、宿が立ち入らず「自分の時間を大切にできる」ということ。自分と向き合う養生の時間を自由に調えて過ごすことができます。搾りたてのミルクを買って温めて飲んでみる。屋根から雪が落ちるのをただ眺める。読んでいなかった本をひたすら読む。おばあちゃんと地元料理を作ってみる。近くの温泉神社や薬師寺で坐禅・瞑想、ヨガ、茶道等を自由に楽しむのもいいでしょう。