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和風月名と和菓子で巡る12か月:前半編

2017年7月8日


6月30日。夏越の祓(なごしのはらえ)。
京都の多くの神社では茅の輪くぐりが行われます。

「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、茅の輪をくぐる事により半年分の穢れ(ケガレ)を落とす行事で、残り半年の健康と厄除けを祈願します。

この時期よく見かける和菓子がこちら。6月の代表的な和菓子「水無月」です。

水無月は外郎(ういろう)の上に小豆をのせた、三角形のお菓子ですが、それぞれに意味がこめられています。水無月の上部にある小豆は悪魔払いの意味があり、三角の形は暑気を払う、削りたての氷を表しているといわれています。

今回は、四季折々を現す日本の代表的な和菓子を、和風月名(わふうげつめい)とともにご紹介していきます。

*和風月明とは1年の12か月を、旧暦の季節や行事に合わせた季節感を現す和風の呼び名です。(現在の暦に合わせると、1~2ヶ月ほど季節感がずれています。)

目次

  • ・1月(睦月)・花びら餅
  • ・2月(如月)・鶯餅
  • ・3月(弥生)・引千切
  • ・4月(卯月)・花見団子
  • ・5月(皐月)・柏餅/粽
  • ・6月(水無月)・水無月/若あゆ

1月(睦月)・花びら餅


睦月(むつき):お正月に親類一同や親しい者が集まり、睦び(親しくする)月。睦び月(むすびつき)。

花びら餅:ごぼうと白味噌餡とピンク色の餅を、餅もしくは求肥で包んだ和菓子。平安期の新年行事「お歯固めの儀」と言う風習に由来し、餅を噛むことで歯は齢に通じ、齢を固めるところから、長寿を願う儀式でした。元々は白が白餅、上に赤餅を重ね、そこに色々の食べ物をのせて食べていたものが、徐々に簡略化され、現在の形になったのは明治中期頃と言われています。

2月(如月)・鶯餅


如月(きさらぎ):まだ寒い時期で衣を重ね着するところから、衣更着(きさらぎ)とも言います。「如月」という漢字は中国の2月の異称をそのまま「きさらぎ」の読みに当てたものとされています。(諸説あり。)

鶯餅(うぐいすもち):春告げ鳥とも言われるうぐいすを象った早春のお菓子。餡(あんこ)を求肥(ぎゅうひ)の皮で包み、両端をとがらせて、青大豆のきな粉(薄緑色)をかけてあります。

3月(弥生)・引千切


弥生(やよい):次第に暖かくなり、草木がいよいよ生い茂る、「木草弥生い茂る(きくさいやおいしげる)」月。弥は「いよいよ」、「生」は生い茂るという意味があります。

引千切(ひちぎり):引千切は、小豆餡をよもぎ団子皮で包むか、または、よもぎ餅の中央のくぼませた部分に置くお菓子。引きちぎったような取っ手らしき形があるのが特徴です。京都の雛祭りには欠かせない和菓子であり、子供の生育を祝うためのお餅です。

4月(卯月)・花見団子


卯月(うづき):「卯の花(空木(ウツギ)の花)」が咲く季節なので、「卯の花月(うのはなづき)」が略されて「卯月」になったと言われています。

花見団子:花より団子の花見団子。ピンク・白・緑の3色のお団子が一本の串に刺さったお菓子です。色々言われはありますが、「ピンク:桜・太陽、白:白酒・残雪、緑:よもぎ」から、暖かい日差しに雪が溶けだし、緑が芽吹き桜が咲き始める春の様子を団子で表現したとも言われています。日本らしい風情ある表現方法ですね。

5月(皐月)・柏餅/粽


皐月(さつき):5月は田植え、早苗(さなえ)を植える月。「早苗月(さなえづき)」のように呼ばれていたものが短くなって「皐月」となったと言われています。

柏餅:柏餅が季節のものとなったのは、江戸時代の頃と言われています。柏餅を包んでいる柏の葉。柏は昔から神聖な木とされており、新芽が出ないと古い葉が落ちないことから「子供が生まれるまでは親が死なない」。跡継ぎが途絶えず「子孫繁栄」に結びつくとの意味から、端午の節供の縁起の良い食べ物となりました。
粽(ちまき):粽に関しては、いろいろ故事が伝えられており、中国で始まったものといわれています。五色の糸(赤・青・黄・白・黒)の粽は、邪気を払うといわれ、疫病をのぞくという故事に基づいていて、子供が無事に育つようにとの魔よけの意味が込められています。また、この五色は鯉のぼりの吹流しの色でもあります。

6月(水無月)・水無月・若あゆ


水無月(みなづき):水が無い月?と思ってしまいますが、「無」は古語の連体助詞で、現代でいうところ「~の」という意味、つまり「水の月」。水田に水を引き始める時期を現しています。水が豊かな月、豊作の願いを込めた月の名前です。

水無月:冒頭にも出てきた「水無月」三角の形は氷を表し、上に飾る小豆は厄除けの意味を込め、無病息災を願った涼やかなお菓子です。
若あゆ:同じ時期によく見かけるのが「若あゆ」。文字通り「鮎」を象ったお菓子です。京都をはじめ関西では求肥が入っているのが一般的ですが、岐阜や名古屋では味噌餡入りのものも。関東では、餡子などを使ったものも。各地の若あゆを食べ比べてみるのも面白いですね。

半年の中でも様々な季節のお菓子がありますね。和菓子の色合いも季節の移り変わりとともに変化しており、目で見て味わって2度おいしい!!食べてみたくなりませんか?

では後半はこちらからどうぞ。

ライター情報

MIKA

MIKA

都内某音楽大学出身。海外留学、専業主婦、法律事務所、外資系消費財メーカーを経て、単身、地方移住を実行、京都にてENYSi参画。 趣味:日本酒、特技:日本酒、好きな言葉:酒。好きな男性のタイプはキレイに&スマートに酒を飲めるひと。

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修行したいって思ったこと、ないでしょうか。


人生の節目で迷っているとき。
だらしない自分に活をいれたいとき。
ベスト・キッドを15年ぶりに観たとき。


余談ですが、筆者は大学生の時に、お坊さんの資格をとるために本山で修行しました。
髪を0.5ミリに切りそろえて朝4時から井戸水かぶったり、何時間も正座したり。
上京まもなく「東京たのしーーーッす」とアタマ花畑状態だった私には拷問同然でしたが、終わった後は顔つきが穏やかになったと評判でしたし(2か月くらい)、就活でエントリーシートのいいネタになりました。

なお、浄土系は修行がかなりライトなこともあり、坊主トークの際に
「浄土って修行期間どれくらい?あ、2週間くらい。へえェー。うち1年。」
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実は、一般の方でも心身の鍛錬のために修行ができるところがあるのです。

そんなわけで今回は、気を引き締めていくべき修行が体験できる宿坊/お寺をランキング形式で紹介いたします!
*完全に筆者の主観です。

2017.06.29